口臭やねばつきの原因はドライマウス?唾液腺の分泌が低下

口の中にこんな症状がありませんか?
「口臭が強くなった気がする」「口の中がネバつく」などの症状がある人は、もしかしたらドライマウスかもしれません。鶴見大学歯学部付属病院のドライマウス専門外来の問診票では、以下のような項目でドライマウスかどうかチェックしています。
- 口の乾きが3ヶ月以上毎日続いている
- あごの下がくり返し、あるいはいつも腫れている
- 乾いた食べ物を飲み込む際にしばしば水を飲む
- 日中水をよく飲む
- 夜間にのどが渇いて水を飲む
- 乾いた食品が噛みにくい
- 食べ物が飲み込みにくい
- 口の中がネバネバする
- 口の中が粘ってしゃべりにくい
- 口臭がある
- 義歯をしているせいで傷つきやすい
これらのチェック項目で「はい」の回答数が多いほど、ドライマウスの可能性が高まります。では、ドライマウスとはどのような疾患で、原因はどこにあるのでしょうか。
ドライマウスの主な原因と進行リスク
ドライマウスは「ただ口が乾くだけ」などと軽く思われがちですが、「口腔乾燥症」という病名がついており、唾液の分泌量が低下することによりさまざまな不具合を生じさせます。ドライマウスの原因としては、シェーグレン症候群や糖尿病、更年期障害、腎不全といった全心疾患によるもののほか、口腔関連の筋力低下やストレス、薬の副作用なども影響します。
まだ初期の段階ではドライマウスを自覚しづらいことも多いのですが、口の乾きやネバつきだけでなく、進行すると舌がザラザラして痛みを伴ったり、味覚を感じにくくなるなどの症状が現れます。そのまま放置しておくと、味覚障害や嚥下障害などにつながり、特に高齢者は誤嚥性肺炎のリスクも高まります。
ドライマウスは誰にでも起こり得る
ドライマウスは全身疾患がない場合でも誰にでも起こり得ます。というのも、唾液の分泌量は毎日のライフスタイルやストレスの影響を受けやすい性質があり、不規則な生活やストレス、睡眠不足などによって口の中は乾きやすい状態に傾きます。また、ホルモンバランスの変化や加齢によっても唾液の分泌は減る傾向があり、中高年の多くはドライマウスだとも言われています。
口が乾いた状態が続くと、口腔内環境にも悪影響を及ぼします。口の中を清潔に保つには唾液がとても重要で、細菌を洗い流して増殖を防ぐ役割があります。ドライマウスになって唾液の分泌が減ると、必然的に口内細菌は繁殖しやすくなり、歯周病や虫歯を引き起こしやすくなります。そうなると、活性化した細菌がどんどん悪臭を発生させて、口臭も悪化します。
加齢やライフスタイルによるドライマウスは、毎日のセルフケアで予防することができます。
ドライマウスによる口臭や歯周病の予防ケア
ドライマウスによる口臭や歯周病を悪化させないポイントとしては、「口の中を潤すこと」と「口の中を清潔に保つこと」がとても大切です。水分をこまめに摂取する以外にも、唾液腺を刺激して唾液が分泌しやすくなるように保湿成分が入ったガム(シュガーレスタイプ)を食べることや、食事の時はよく咀嚼することを心がけましょう。
オーラルケアについても、時間がなくても食事の後や寝る前にはうがいをしたり、保湿成分が配合されたマウスウォッシュやデンタルリンスによるケアを習慣づけたりすると細菌が繁殖するリスクが低くなります。
口臭や歯周病予防には、歯ブラシは小さめのものを使って奥歯や歯と歯茎の境い目までていねいにブラッシングしてください。また、歯磨き粉は歯茎の引き締め効果があるタイプや、歯茎の血流を促進させるタイプがおすすめです。最近では、口内環境を正常化に近づける作用がある「なた豆」の成分が配合された歯磨き粉が注目されていて、歯周病ケアに適しています。保湿成分が配合されているものもあるため、ドライマウスによる症状や口臭を抑える作用にも優れています。